世の中には驚くほど偏差値の高い人たちがいます。理系で偏差値が最も高い人たちは、東大・京大・国立大学の医学部に進学する割合が高くなります。僕が受験生だった時代は、理系で成績上位の人たちは一律に東大や京大を目指していました。医学部を目指しているのは親が開業医をしているとか、純粋に医師になりたいという人しかいませんでした。勉強ができるというだけで医学部を目指すという人は、ほとんどいませんでした。でも最近は、勉強ができるというだけで医学部を目指す人が増えてきているようです。
僕の知人に兵庫県の灘高出身で、京大の医学部に現役で合格し、今は医師として働いている人(A君)がいます。灘高は全国的にも有名な超名門進学校です(ちなみに僕はごく普通の公立高校出身です)。そのA君の灘高時代の同級生ですが、現役で何十人も東大に合格しています。医学部コースの理科三類に進学できる人は限られていますが、多くの同級生は理科一類・二類に進学したとのことです。
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それからうん十年と月日は流れ、A君は久しぶりに灘高の同窓会に出席しました。その同窓会で、高校時代にとても優秀で、東大理科一類に現役で合格したB君と久しぶりに再会することができたそうです。B君はそのまま東大の理学部へ進学し、今は研究職に就いているとのことですが、「家族もいるのに年収がたったの300万円なんだ…」とボヤいていたようです。
その一方で、B君と同じように理科一類に進学した同級生も何人か出席していて、B君と同じく研究者をしていたはずのその彼らは、みんな医師になっていたそうです。東大を卒業して研究職に就いたのですが、給料が安すぎるせいで普通の生活ができなかったため、他の大学の医学部を受験し直したとのことです。医師の道を選んだ同級生たちに対してB君は、「俺もそうすればよかったなあ…今からでも間に合うかな?(笑)」と苦笑いしていたそうです。
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灘高出身で東大に現役合格できるような優秀な人間であれば、医学部の再受験なんて簡単だと思います。以前の記事「東大・宇宙工学科からやってきた友人」でも紹介しましたが、世の中にはとんでもなく頭のいい人がいます。でも一番の問題は、日本の研究職の給料の低さだと思います。京大医学部出身で、医師にならずに研究職に就いている知人がこんなことを言ってました。
「実家がお金持ちじゃないと、いい研究なんてできないよ」
彼は実家は資産家で、お金はいくらでもあるようです。実家からの仕送りだけで外車を乗りまわすことができるほど裕福です。お金の心配をすることがないので、研究職がいくら薄給でも十分(むしろ余裕で)生活することができます。そんな彼が発したこの言葉には妙に説得力があります。なにはともあれ、超優秀な理系の人間がこぞって医学部を目指すという異常な社会をなんとかしなければなりませんよね。東大・京大にまつわる以前の記事もあるので、参考までにどうぞ^ ^
✅「東大理Ⅲ」
✅「灘高→京大医学部の先生」
それではまた^ ^