医学部の学生だった時にすごい経歴の同級生が一人いました。ここでは彼のことを”Kさん”と呼ぶことにします。医学部というところは実験や実習が多いため、入学した時に5人ずつのグループに分けられます。僕が所属していたグループには、自分達より5歳ほど歳上のKさんがいました。しかしKさんは先輩ヅラしてエラそうにすることは一切なく、常に物腰が低く、言葉使いも丁寧ないわゆる”紳士”な人でした。医学部再受験の僕とは年齢が近かったため、Kさんとはとても仲良くなりました。
Kさんは偶然にも僕と同じ県の出身で、田舎の公立高校を卒業し、最初は東京大学理科Ⅰ類に現役で合格しました。子供の頃から飛行機に興味があったKさんは、猛勉強の末、航空宇宙工学科の道に進みました。東大の理科Ⅰ類というところは同級生が毎年1,000人以上いますが、その中でも10人しか進学することのできない狭き門をくぐり抜けたKさんは、天才というより超努力家だったと思います。航空宇宙工学科には開成高校(偏差値78)出身の人など、めちゃくちゃ頭のいい人ばかりだったと言っていました。
そんなKさんが、航空宇宙工学科を卒業した後になぜ医学部への進学を選んだかというと「宇宙飛行士になりたくなったから」と言ってました。どういう理屈か詳しくは聞いていません。でもNASAやJAXAで働いている同級生がいる中で、Kさんは宇宙飛行士になるためにあえて医学部を再受験し、そして合格したのでした。(なぜだろう?)
航空宇宙工学科で研究をしながらの医学部受験、これは我々一般人からは想像を絶するものでした。大学院の卒業論文も作成していたとのことで、受験勉強というものはほとんどできなかったそうです。なんでも、卒業論文を仕上げた翌日に「たった一日しか本気で勉強できなかった(笑)」と言ってました。Kさんの話によると、東大の航空宇宙工学科では、分厚い専門書を2〜3冊渡されて「これ、明日までに要点まとめて来てね」的な能力が要求されるとのことです。それくらいの情報処理能力と地頭があれば、地方の国立大学医学部なんて一日あれば十分なのかもしれません。(ちなみに僕は、一年間毎日14時間勉強し続けましたが…)
先日の記事「灘高→京大医学部の先生」でも紹介しましたが、世の中には僕たち一般人では想像もつかないレベルの頭の良い人たちがいます。しかし、それほど地頭の良くない人でも圧倒的に優れた仕事をしている人もたくさんいます。また、地頭の良い人たちよりも圧倒的に稼いでいる人もたくさんいます。僕の実感ですが、結局のところ学力とか偏差値とか学歴なんて「まあ何かの足しになるかな〜」くらいなものと考えていいかもしれません。社会に出たら人間力(特に行動力、フットワーク)の方が圧倒的に大切ですから^ ^
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<本日のブッダの言葉>
この世の中は暗黒である。ここではっきり(ことわりを)見分ける人は少ない。網から脱れた鳥のように、天に至る人は少ない。
『ブッダの真理のことば 感興のことば』中村 元 訳より
それではまた^ ^