お盆休みがやってきました。皆様いかがお過ごしでしょうか？
お盆と言えば「ご先祖様が家に帰ってくる期間」のはずですが、その一方で毎年のお盆休みを利用して、ご先祖様の墓参りをしている人も数多く見かけます。ご先祖様は家に帰り、そして家の者はみんなでご先祖様のお墓に参るので、結局のところすれ違いになるのでは？って、毎年のように思ってしまいます。そんなことはさておき、先日職場の同僚の女性と話をしていた時に、とんでもないお坊さんがいるという話を聞きました。
その同僚の女性が住む地域では、毎年お盆の時期になると近所のお寺のお坊さんが各家庭にお経をあげにやってくるそうです。その際にお布施として3,000円から5,000円くらいを包んで渡す習慣があるようなのですが、みんながみんなお盆休みをとってお坊さんを出迎えることができないというのが現状です。そこでお盆期間中に家を不在にする場合は、お坊さんがいつ来てもいいように玄関の鍵を開けておき、お仏壇のそばに「お布施」を予め準備しておくとのことです。とても物騒な習慣だなあって思いましたが、片田舎の集落なのだそうで、それはそれで問題がないとのことです。
そしてここからは、昨年のお盆に同僚の女性の家で本当に起こった実話（事件）です。その同僚の女性は、お盆前にいつも通り仏壇の掃除とお布施（毎年5,000円）の準備をしました。お坊さんがやって来る正確な日時が分からなかったため、お仏壇の横にお布施を置いて、自分達が家を不在にした時に備えて、全てをスタンバイしておいたそうです。そしてお盆休みの初日にその事件が起きました。
お盆休みを利用して家族全員が家に帰って来るため、その日はお昼頃から夕食の準備をしていたようです。いつ家族が帰って来てもいいように、玄関には鍵をかけていませんでした。ダイニングキッチンで煮物を仕込んでいたところ、玄関の扉がガラガラと開く音がしました。彼女は「誰か帰って来たのかな？」と思い、廊下のずっと先にある（広いお家です）玄関の方を見てみると、家に入って来ていたのは近所のお坊さんでした。ちょうど煮物の下ごしらえなどをしていたので、すぐにお坊さんを出迎えることができませんでした。
お経をあげるのに時間がかかることを知っていたので、煮物の下ごしらえを手早く済ませ、鍋に火にかけてから仏間に行って、お経を読んでいるお坊さんにご挨拶をしよう…と思っていたそうです。しかし、そのお坊さんが入って来てから一分もしないうちに、また玄関の扉の音がガラガラとしました。今度こそ家族の誰かが帰って来たのかと思い、廊下の先の玄関を見てみると、先ほど入って来たばかりのお坊さんが出ていくところだったのです。
家の者が誰もいないと勘違いしたお坊さんは、またあらためて出直してくれるのかなあと思ったとのことですが、いざ仏間に行ってみると仏壇の横に準備していたお布施が無くなっていたのでした。なんとそのお坊さん、家の者がいないと判断した瞬間に、お経をあげずにお布施だけゲットして、颯爽と家を後にしたようなのです。その同僚の女性は「あんなクソ坊主、地獄に落ちればいいんよ！」って声を荒げていました。言葉は悪いけど、怒るのも無理はないなあって思いました。ご近所付き合いもあるので、今年も（仕方なく）お布施は準備するとのことですが、「今年から3,000円に値下げするんや！」と怒り続けてました。
このお坊さん（彼女に言わせれば「クソ坊主」）のように、世の中には「プロ意識」を持たずに仕事をしている人が大勢いるように思ます。僕は10年くらい前に、手術の達人の先生の下で修行をしていましたが、その達人の先生は僕たち若手医師の未熟な手術を見ながらよくこう言ってました。
「できない理由を探すのが”素人”。どうすればできるかを考えるのが”プロ”だ」
他のお坊さんには読めないようなスペシャルのお経（そんなの無いと思うけど）を読んでくれる必要なんて全くないし、誰もがうっとりと聞き惚れてしまうような美しい声で読経をして欲しいという訳でもありません。ただ、普通のお坊さんが普通のお勤めとしてやってくれているように、仏壇の前でお経を読んでくれさえすれば良かったのです。僕の手術の師匠の先生が、次のようにも言ってました。
「当たり前のことを、当たり前のようにする事が、一番難しいんだ」
プロ意識の無いお坊さんにまつわる小話のおかげで、あらためて大切なことに気がつかされた今日この頃でした。ちなみに「お坊さん」にまつわる記事は過去に書いているので、暇つぶしにでも読んでいただければ幸いです。（100％実話です）
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それではまた^ ^
