🌀ぐるぐるねこ男ブログ🌀

ぐるぐるねこと一緒に暮らしている男の雑記ブログです。週2回(月・木)更新中🎵

雪国で出会った、忘れられない患者さんとその家族の話

ぐるぐるねこ男

 

今日は仕事が休みです。書斎の窓から雪景色を眺めていると、北海道に住んでいた時のことを思い出します。数年前、僕は極寒の地である北海道のとある病院で、手術の修行をしていました。本当に多くの患者さんとも関わってきましたが、その中に僕が一生忘れることのできない患者さんとその家族がいます。

 

患者さんは30歳代の若いお父さんでした。家族みんなで夕食を食べていた時に、突然意識を失ったということで、僕が勤めていた病院に救急搬送されてきました。病状は深刻で、緊急手術をしても助からない状態でした。一家の大黒柱の突然の病気で、奥さんはベッドサイドで呆然としていました。そのご夫婦には4歳の男の子がいましたが、まだその子には自分の父親がどんな状況に置かれているのかなんて、理解することができませんでした。

 

病状的におそらく1週間くらいしか命がもたないということを告げ、僕たちができる治療は全てしますと奥さんにお話しました。泣き崩れる奥さん、そしてそれを見て少し心配そうになっている4歳の男の子。つい数時間前までは普通の家庭だったのに、お父さんの急病によって、あっという間に奈落の底に突き落とされた感じでした。

 

僕はかけてあげる声がありませんでした。すると、意識のない自分の父親をじーっと見ていた4歳の男の子が突然、父親の入院用の荷物の中からあるものを探して取り出したのです。それは自分の父親がいつも使っている目覚まし時計でした。そして、目覚まし時計の針を合わせ、父親の枕元に置き、目覚ましの音のスイッチを入れたのでした。

 

ピピピピ、ピピピピ、ピピピピ、・・・

 

意識のない父親の枕元で目覚まし時計が鳴り始めました。その4歳の男の子は、目覚まし時計で眠っているお父さんを起こそうとしたのです。その瞬間、奥さんは声をあげて泣き出しました。そして「お父さんは仕事で疲れて寝てるから、もう少し寝させてあげようね」と言って、涙を流しながら目覚まし時計のアラームをオフにしたのです。男の子は目が覚めないお父さんの方をじっと見続けていました。僕たちはそっと病室を後にしました。

 

***

医師という仕事をしていると、本当に多くのドラマに遭遇します。テレビで時々やっている医療系のドラマがありますが、僕はその手のドラマを一度も観たことがありません。普通に仕事をしているだけで、僕の前には多くの人間ドラマが流れてきます。久しぶりの大雪を窓から眺めていると、ちょっと昔のことを思い出してしまいました。他にも忘れられない患者さんとのエピソード「小児がんの女の子」も書いているので、もしよろしければ読んでみてください^ ^

 

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それではまた^ ^