#名刺代わりの小説10選

先日、ソファーでごろごろしながら暇つぶしにTwitterを眺めていたところ「#名刺代わりの小説10選」というハッシュタグを見つけました。好きな小説が10作品、ハッシュタグ、そして「名刺代わりの10冊メイカー」というサイトのリンクが貼られていました。試しにそのサイトを覗いてみたところ、Amazonや楽天のアフィリエイトIDを設定することができて、しかも選んだ10作品をそのままTwitterで紹介できてしまうという優れものでした。早速僕も”名刺代わり”になりそうな小説を10作品選び、アマゾンアソシエイトのIDを設定し、見よう見まねでツイートしてみました。

一気読みした本ばかりです。

○罪と罰
○新世界より
○ジェノサイド
○ゲームの達人
○星を継ぐもの
○海辺のカフカ
○利休にたずねよ
○海賊とよばれた男
○わたしを離さないで
○ジェネラル・ルージュの凱旋#名刺代わりの小説10選 #名刺代わりの10冊メイカー https://t.co/OW5UqCnJ20

— ぐるぐるねこ男🌱 (@guru2_neko_man) 2023年4月6日

本棚に残っている大量の小説を眺め、面白くて一気読みした作品ばかりを選んでみました。この中でも村上春樹や貴志祐介、海堂尊の小説は、ほぼ全作品を一気読みしていますが、一人の作家さんにつき一作品だけとしました。もちろん本棚に残っていない小説（電子版で読んだり、他の人にあげたりしたもの）の中にも名作はたくさんありますが、とりあえず自分の手元に残っていて、誰が読んでもハズレが無いものをピックアップしてみました。せっかくなので、僕の「#名刺代わりの小説10選」をサクッと紹介してみようと思います。（ちなみに紹介する順番は、タイトル文字数の少ない順です）

『罪と罰』ドストエフスキー

罪と罰　１ (光文社古典新訳文庫)

貧困・孤独・狂気の渦巻く大都会のかたすみに、「理想的な」殺人をたくらむ青年が住んでいた。酔いどれ役人との出会い、母からの重い手紙、馬が殺される悪夢。ディテールが、運命となって彼に押し寄せる！歩いて七百三十歩のアパートに住む金貸しの老女を、主人公ラスコーリニコフはなぜ殺さねばならないのか。

日本語訳が分かりにくくて、読んでる途中で何度も挫折し続けてきた”とっつきにくい”小説でした。でも光文社古典新訳文庫の『罪と罰』は、めちゃくちゃ分かりやすいです。この小説を一言で表現するならば「青年が老女を殺害するだけの作品」なのですが、ストーリーの展開がスリリングで、登場人物の心理描写も生々しくてとても面白かったです。ドストエフスキーにチャレンジしてみたい人は、この『罪と罰』から入門してみてはどうでしょうか？

『新世界より』貴志祐介

新世界より(上) (講談社文庫)

1000年後の日本。豊かな自然に抱かれた集落、神栖（かみす）66町には純粋無垢な子どもたちの歓声が響く。周囲を注連縄（しめなわ）で囲まれたこの町には、外から穢れが侵入することはない。「神の力（念動力）」を得るに至った人類が手にした平和。念動力（サイコキネシス）の技を磨く子どもたちは野心と希望に燃えていた……隠された先史文明の一端を知るまでは。＜第29回 日本SF大賞受賞 第1位＞

本棚をざっと眺めていて「この小説はめちゃ面白かったな！」と一番最初に目についたのが『新世界より』でした。三冊編成でかなりの長編ですが、あっという間に一気読みしてしまいました。この作品以外にも貴志祐介の小説はほとんど全て一気読みました。ここまでハズレ作品が無い作家さんは他にいないと思います。

『ジェノサイド』高野和明

ジェノサイド 上 (角川文庫)

イラクで戦うアメリカ人傭兵と日本で薬学を専攻する大学院生。二人の運命が交錯する時、全世界を舞台にした大冒険の幕が開く。アメリカの情報機関が察知した人類滅亡の危機とは何か。一気読み必至の超弩級エンタメ！＜2021年版「このミス」1位＞

何か面白い小説がないかなあ〜ってネット検索をしていて見つけたのがこの『ジェノサイド』でした。そのタイトル通りでかなりグロいシーンもありますが、最後までドキドキしながら一気読みすることができます。伏線回収も完璧です。アメリカ人傭兵や薬学を専攻する大学院生が登場しますが、専門的な知識が無くても全然楽しめる作品です。

『ゲームの達人』シドニー・シェルダン

ゲームの達人　上

シドニィ・シェルダンはギネスブックに載るほどのベストセラー連発の作家。氏の最高傑作のひとつがこの「ゲームの達人（Master of the Game）」。どんでん返しのすごさにハラハラドキドキが止まらない。睡眠不足にならぬよう、あらかじめ警告しておく。

”一気読み”の代表と言えば、シドニー・シェルダンを外すことはできません。まだ僕が高校生の頃にこの『ゲームの達人』に出会いましたが、勉強そっちのけで二日間で一気読みした記憶があります。初期の頃の作品は大学生の頃にほぼ全て読みました。最近、図書館で久しぶりにシドニー・シェルダンの『金のなる木』という新しい作品を借りて読んでみたのですが、残念ながらイマイチでした。ザックリですが、初期の頃の10作品くらいまでがおすすめです（笑）

『星を継ぐもの』J・P・ホーガン

星を継ぐもの 巨人たちの星シリーズ (創元ＳＦ文庫)

月面調査員が真紅の宇宙服をまとった死体を発見した。綿密な調査の結果、この死体は何と死後五万年を経過していることがわかった。果たして現生人類との繋がりはいかなるものなのか。やがて木星の衛星ガニメデで地球のものではない宇宙船の残骸が発見された……。ハードSFの新星が一世を風靡した出世作。＜星雲賞受賞作＞

理系人間の僕としては、最初から最後まで最高に楽しめたSF小説でした。そして、一番最後の大どんでん返しには鳥肌が立ちました。しかしこの小説は、理系人間じゃなくても、そして宇宙に興味が全くなくても、大多数の人が一気読みしてしまうくらいの可能性を秘めています。海外の作品ですが、日本語訳もかなり読みやすいです。SF系の小説は嘘っぽいのであまり読まないのですが、この作品はリアルっぽくて大好きです。

『海辺のカフカ』村上春樹

海辺のカフカ（上）（新潮文庫）

四国の図書館に着いたカフカ少年が出会ったのは、30年前のヒットソング、夏の海辺の少年の絵、15歳の美しい少女ーー。一方、猫と交流ができる老人ナカタさんも、ホシノ青年に助けられながら旅を続ける。＜入り口の石＞を見つけだし、世界と世界が結びあわされるはずの場所を探すために。謎のキーワードが二人を導く闇の世界の出口はあるのか？海外でも高い評価を受ける傑作長編小説。

ハルキストの僕にとっては、村上春樹作品の一番を決めることは至難の業です。でもこの季節、この瞬間に読みたいものをあえて一つ選ぶとするならば、この『海辺のカフカ』かなあって思いました。理由は特にありません。でもカフカの冒険（？）を安心して読み続けることができるこの作品は、今の季節にぴったりなんです。ちなみにうちの奥さんも、このカフカのせいで徹夜していました。

『利休にたずねよ』山本兼一

利休にたずねよ (PHP文芸文庫)

利休の研ぎ澄まされた感性、艶やかで気迫に満ちた人生を生み出したものとは何だったのか。また、利休の「茶の道」を異界へと導いた、若き日の恋とは…。「侘び茶」を完成させ、「茶聖」と崇められている千利休。その伝説のベールを、思いがけない手法で剥がしていく長編歴史小説。＜第140回 直木賞受賞作＞

僕にとって歴史小説と言えば、吉川英治や山岡荘八、そして司馬遼太郎でした。でも他の作家さんの歴史小説も読んでみようと思った時に巡り合ったのがこの『利休にたずねよ』です。僕は千利休のファンではありません。また茶道に対しても全く興味がありません。実は戦国時代の小説もすごく好きという訳ではありません。それでもこの作品はめちゃくちゃ面白かったです。千利休の違った側面が（フィクションとはいえ）最高にカッコよかったです。

『海賊とよばれた男』百田尚樹

海賊とよばれた男（上） (講談社文庫)

一九四五年八月十五日、敗戦で全てを失った日本で一人の男が立ち上がる。男の名は国岡鐡造。出勤簿もなく、定年もない、異端の石油会社「国岡商店」の店主だ。一代かけて築き上げた会社資産の殆どを失い、借金を負いつつも、店員の一人馘首せず、再起を図る。石油を武器に世界との新たな戦いが始まる。＜2013年 本屋大賞受賞＞

『永遠のゼロ』と並び、この『海賊とよばれた男』は百田尚樹の代表作です。どちらも読みましたが、僕は圧倒的にこちらの小説の方が好きです。この作品を一言で表現するならば「血湧き肉躍る」ではないでしょうか？僕もこんな生き方ができたらカッコいいだろうなあって思いました。でも僕自身は起業して会社を経営しようなんて気持ちは全くないので、単なる憧れで終わりました。

『わたしを離さないで』カズオ・イシグロ

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)

優秀な介護人キャシー・Ｈは「提供者」と呼ばれる人々の世話をしている。生まれ育った施設へールシャムの親友トミーやルースも「提供者」だった。キャシーは施設での奇妙な日々に思いをめぐらす。図画工作に力を入れた授業、毎週の健康診断、保護官と呼ばれる教師たちのぎこちない態度……。彼女の回想はヘールシャムの残酷な真実を明かしていく。

痛快！大どんでん返し！！血湧き肉躍る！！！といったジャンルの小説ではありませんが、この『わたしを離さないで』の世界が妙にリアルで、他人事のようには思えませんでした。10年先の未来は本当にこんな感じになっているかも？と思ってしまいます。ノーベル賞作家のカズオ・イシグロの作品の中では最高傑作です。ちなみに最新作の『クララとお日さま』も読みましたが、日本語訳が変でイマイチでした。急いで出版したかったのかな？海外の小説って日本語訳がすごく大切だと思いました。

『ジェネラル・ルージュの凱旋』海堂尊

ジェネラル・ルージュの凱旋(上) (宝島社文庫)

伝説の歌姫が東城大学医学部付属病院に緊急入院した頃、不定愁訴外来担当の田口公平の元には匿名の告発文書が届いていた。“将軍（ジェネラル）”の異名をとる、救命救急センター部長の速水晃一が特定業者と癒着しているという。高階病院長から依頼を受けた田口は調査に乗り出す。

医療の現場が舞台となっている小説なのですごく親近感が湧きましたが、それにしても細部にわたって超リアルな描写に「あーそれ、あるある！」というシーンの連発でした。もちろん医療職じゃない人が読んでも十分楽しめる作品です。ジェネラルと呼ばれる主人公の速水先生の仕事っぷりにはため息が出ます。シリーズ作品の中ではこの『ジェネラル・ルージュの凱旋』が最高傑作です。ここから読んでも大丈夫です。

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以上、僕の「#名刺代わりの小説10選」を紹介してみました。少しクセのある作品もありますが、僕が自分の部屋の本棚をザッと見渡した時に「万人受けするはずだ」と思った小説を選んでみました。賛否両論あるとは思いますが、まあでも僕ってこんな人間なんだって思っていただければ幸いです。実は「#名刺代わりの小説10選」の裏バージョンもあります。また機会があれば紹介しようと思います。

皆さんの「#名刺代わりの小説10選」も、ぜひ教えてください^ ^

それではまた^ ^