🌀ぐるぐるねこ男ブログ🌀

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文庫本よりも単行本で読む「村上春樹」

ぐるぐるねこ男

 

村上春樹の6年ぶりとなる新作長編『街とその不確かな壁』を読みました。村上春樹の一番よいところが全て凝集した”過去一”の最高傑作ではないかと思います。しかしその一方で、村上春樹ワールド特有の「よくわからなさ」が少し欠けていて、なんだか文章も綺麗すぎるなあ〜という物足りなさも残りました。いずれにしても、初めて村上春樹を読む人にとっても、この作品から入るのは全然”あり”だと思います。この『街とその不確かな壁』を読んで、それから『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』を読み、そしてついでに『海辺のカフカ』なんか読むと、村上春樹の真髄を最高に楽しめるのではないか?と思います。実際僕も、その順番に過去の作品を読み返している最中です。

 

さて、この『街とその不確かな壁』ですが、4月に発売されたばかりなので、もちろん「単行本」の形態で店頭に並んでいます。単行本とは”単体で刊行される本”のことを言いますが、同じ作品の文庫本と比べて①大きい、②しっかりしている、③値段が高い(2〜3倍)といった違いがあります。同じ内容の話を書いているんだから、安くて持ち運びが便利な「文庫本」の方がええやん!って、今までずっと思っていました。あのマイクロソフトの創始者であるビル・ゲイツが飛行機の座席を選ぶ時に、目的地もかかる時間も同じなら安い席の方がええやん!(関西弁)ということで、ビジネスクラスではなくエコノミークラスを選んでいたという逸話を聞いたことがあります。そのレベルの話ではありませんが、今までどれほど待ち望んだ本が出版されても、それが文庫本化され、しかも古本として出回るまで2〜3年待つなんて当たり前の人生でした。

 

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しかし、村上春樹作品を読み始めてから、その考えは大きく変わりました。正しくは「変えざるを得なかった」という表現がぴったりかもしれません。村上春樹の作品を初めて読んだのは社会人になってからでした。引っ越しの時に段ボールの中から見つけた『ノルウェーの森』を読み始めたところ、ページをめくる手が止まらなくなってしまったのです。そして僕は村上春樹の作品を最初から最後まで全て(しかも一気に)読みました。もちろん”文庫本”かつ”古本”です。ソファーでゴロゴロしながら読んだり、カバンに入れて持ち歩き、ちょっとでも時間があれば村上春樹作品を読んでいました。以前の記事「ハルキストになってしまった人の話」でも紹介しましたが、うちの奥さんも僕の影響で村上春樹の大ファンになってしまいました。全ての作品を読んでしまうと、あとは最新作の発売を待つしかありません。そしてとうとうあの『騎士団長殺し』が出版されてしまったのです。

 

待望の『騎士団長殺し』は、当たり前のように単行本で発売されました。文庫本になるのはおそらく一年後くらいです。そしてそれが安価な古本として出回るまで更に一年くらいかかります。発売当初は「よし、2年くらいあっという間だ。文庫本の古本になるまで待つとするか」と思っていました。しかし発売から3ヶ月くらい経過したある日、我慢できなくなってしまった僕は単行本の『騎士団長殺し』を(古本ですが…)買ってしまったのでした。村上春樹に限らず、小説を文庫本という形態で読んだのはその時が初めてでした。『騎士団長殺し』が面白かったのは言うまでもありませんが、それ以上に「単行本って、めちゃくちゃ読みやすいなあ」という印象を受けたのでした。

 

とにかく文庫本なんかと比較できないくらい本自体がしっかりしていることに感動しました。最初は「単行本なんて重くて顔の上に落ちてきたら大変だ」って先入観を持っていたのですが、上向きになって読んでいても、肘をソファーなどに固定していれば、ものすごく安定した姿勢で本を読み続けることができます。また机や床に本を置いても、文庫本は勝手に閉じてしまいますが、単行本は置いた状態のままページを開き続けてくれます。勝手に開いた状態でじっとしてくれるので、両手が自由になり、むしろ楽な姿勢をとったりすることも可能になります。何よりもクッキーを食べながらコーヒーを飲むなんてことが簡単にできてしまいます。単行本は、それ自体が僕に依存することなく、独立して開いたページを保持してくれるので、僕は村上春樹の『騎士団長殺し』以来、単行本という形態の虜になったのです。そして、自分の本棚にずっと並べておきたい本や小説は、できるだけ単行本で買うようになりました。

 

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長かったゴールデンウィークも終盤を迎えました。高速道路が何十キロも渋滞しているといったようなニュースを小耳にはさむと、狭い車の中で何十分も(何時間も?)耐えている人たちに対して「本当にご苦労様です」という思いしかありません。僕は今年のゴールデンウィークは、朝から深夜までずーっと本を読み続けました。聞きたかったジャズもたくさん聴きました。僕のamazon musicのアルバムリストが、かなり賑やかになってきました。ジャズの本もじっくり読み込み込みました。今週末、高校時代の同級生と同窓会をすることになりました。仲の良かった友達が、その後どんな人生を歩んでいるのか、すごく再会を楽しみにしています。この10年くらいは仙人のようにずっと自分の殻に閉じこもった人生を送っていたので、昔の友人と再会するのが少し恥ずかしい気持ちもありますが、新しく転生した人生を始めるつもりで、友人たちとの夜を楽しんでこようと思っています。

 

 

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それではまた^ ^