僕は今、田舎の病院で外来診療の仕事をしていますが、病院に来る患者さんのほとんどが「超」がつくほどの高齢者です。若くてピチピチした患者さんなんて一人も見かけない日もよくあります。朝の外来の待合ですが、老人会の集会場みたいになっていて、おじいちゃんやおばあちゃんが「おう！元気にしてたか？」みたいな感じで、世間話に花を咲かせている場面もよく見かけます。これは笑い話ではないですが、本当に体調が悪くなると病院で姿を見かけなくなる高齢患者さんもいて、心配した他の患者さんたちが「あいつ最近、病院に来なくなったけど、どこか調子悪いんかな？」といったような話を本当にしています。
高齢になると自分ひとりで生活することが困難になってくるため、家族の介護が必要になってくる場合があります。一人暮らしで高齢、かつ認知症の親を介護するのは本当に大変です。多くの場合、一番近くに住む娘さんが介護に携わることが多いのですが、これまた多くの場合で他のきょうだいは”知らん顔”をしていることが多いです。一人暮らしの認知症を患った親の介護ですが、一言で言って”悲惨”です。すごく親思いで優しそうな娘さんでも、日が経つごとに表情が険しくなってきます。そして僕の外来に付き添いで来た時に、介護疲れでボロボロと泣き出す人もいます。認知症の親に対して「早く死ね！って言ってしまいました…」と泣いていた娘さんもいました。他にもきょうだいがいるようなのですが、「仕事が忙しい」とか「遠いから無理」と言われ、自分の親の介護に関しては”我関せず”という立場を貫かれているとのことです。
このことは我が家でも当てはまります。僕は、高齢で少し認知症が始まった父親を養っていますが、他のきょうだいは一切関与してきません。僕が医者でお金持っているんだから親の介護をするのは”当然あんたの役目でしょ？”みたいに思われているようです。父が仕事を引退してから10年以上経過しますが、貯蓄のない父の生活費やその他諸々の支払いに関しては誰も協力してくれませんでした。それどころか、僕が貸したお金を返さないとか、僕の家庭を平気で非難してくるようなとんでもないDQNなきょうだいもいます。母親は病気で既に亡くなっていますが、入院治療費や葬式代も1円も負担せず、挙げ句の果てには他の親戚とグルになって遠巻きに悪口ばかり言ってくる始末でした。ハリウッド映画なんか観ていると、きょうだい思いのシーンをたまに見かけることがありますが、僕には全く理解できなくて、きょうだいのために涙を流すなんて「嘘だろ？」って思ってしまします。
かなり愚痴っぽくなりましたが（笑）、そろそろ本題に入ります。高齢で少し認知症が始まっている父は、過去にとんでもないことをしたことがあります。以前、僕がお金を払ってガラケーを持たせてあげていた時に、久しぶりに支払い明細を見てびっくりしたことがありました。「電話しか使わない」って言っていた父が、ガラケーをネットに繋げてテキストだけのニュースを毎日見ていたのです。一年以上そのことに気が付かなかった僕も悪いのですが、父のガラケーにかかっていた電話料金が毎月5万円くらいになっていたのです。そのことを父に言っても仕方ないので、泣き寝入りすることになりましたが、高齢者に携帯電話を持たせるのは、すごいリスクが高いってことを知りました。
それ以来、毎月の携帯料金は必ずチェックしていますが、今までは大きな問題は起きていませんでした。しかし、最近スマホデビューをした父が、先日「なんか携帯電話がおかしいんや」と言ってきたのです。父のスマホは一番格安のAndroid携帯でした。その父のスマホを開いて画面を見ていると「ストレージがいっぱいなので、今すぐクリーナーアプリをダウンロードしてください」みたいな広告が次から次へと出てくるのです。どうにかしてそれを消そうと思っても、他のアプリを開く前に広告が全画面表示されて、明らかに感染したとしか思えないような状況になっていました。僕はiPhoneしか使ったことがないため、Android携帯のことはよくわかりませんでした。餅は餅屋ということで、近所のソフトバンクショップへ電話をしてみると、有料だけど問題解決をしてくれるということで、早速ショップへ出かけることにしたのです。
僕らの担当をしてくれたのは笑顔の素敵な若い男の子でした。サービス料として1,100円かかるということでしたが、父のAndroid携帯の問題を解決してくれるのであればそれくらいのお金を払ってもいいなと思えるような丁寧な接客だったのです。結果としては、その次から次へと広告が出てきてスマホ操作ができないという問題をきちんと解決してくれました。その時思ったのが、すごく困っている問題を解決してくれるのであれば、人はどんなにお金がかかっても”払いたい”という気持ちになるんだってことでした。「今後もこの問題には何度も遭遇する可能性が高いので…」ということで、その店員さんは終始笑顔で丁寧に問題解決の方法を教えてくれました。この人になら2,000円（安い？）でも払っていいなって、真剣に思いました。
Android携帯ってiPhoneよりもセキュリティ面が弱くて、外部の攻撃に晒されやすいとは聞いていましたが、うちの父親のようにWi-Fiが切れていても全く気がつかずに、YouTube動画を観まくっているような高齢者が使っていると、そのリスクは更に高まります。そもそも論ですが、うちの父のように認知症が始まっているような高齢者には、Wi-Fiのことを何回説明しても「ん？Wi-Fiってなに？」というレベルなのです。高齢者の携帯電話使用には十分気をつけた方が良さそうですね。というわけで、今回の記事で一番伝えたかった「Android携帯の待ち受け画面に広告が勝手に表示され続ける問題を解決する方法」を紹介して終わろうと思います。
＜Android携帯の待ち受け画面に広告が出続ける時の解決法＞
① 携帯電話の横の「電源ボタン」を長押しする
②「電源を切る画面」になったら「電源を切る」アイコンを長押しする
③「セーフモード」になる
④「設定」の中の「アプリと通知」の中から、自分が入れた覚えのない「広告アプリ」のような不要なアプリを「アンインストール」する
⑤ 待ち受け画面に広告が出続けることが無くなる
ちなみにですが、うちの父によくよく聞いてみたところ、トランプのゲームをしていたら「無料のビリヤードゲーム」みたいな広告が出てきたので、その広告をクリックしてビリヤードゲームをインストールしたそうです。それ以来、どんどん変な広告が出始めてきて、最後には収集がつかなくなったとのこと。電池の消費も激しくなり、スマホが勝手に熱くなっていたようです。高齢者の携帯電話の使用に関しては、くれぐれもご注意ください。
それではまた^ ^
