シンプルに生きる

僕はミニマリストを目指している訳ではありませんが、できるだけシンプルに生きていこうと思っています。数年前に急性期医療の最前線から退いたことをきっかけに、僕の考え方は大きく変わりました。今の自分の置かれた状況で、必要最低限のものだけを残し、無駄なものにエネルギーを分散させないように心がけています。

まずは所属していた3つの「学会」を退会しました。それに伴って専門医の資格を失うことになりましたが、実際は肩書きが無くなっただけで困ることは全くありませんでした。もちろん患者さんにも迷惑をかけていません。単なる肩書きを維持するためだけに、年間数十万円も失うよりは、そのお金で旅行に行ってかけがえのない経験をする方が、今の僕にとって価値があります。

次は「大学の医局」との縁を切りました。僕の時代は大学を卒業すると、まず医局という組織に強制的に所属させられました。医局に属していると、就職先の病院を斡旋してくれたりするメリットもありますが、逆にある日突然「人が足りないから◯◯病院に転勤してくれ」という命令が下されることがあります。子供の学校のことや、今勤めている病院のことなど一切関係ありません。僕はもうこれ以上、他人に自分の人生をコントロールされたくないので、医局との縁を切るということは今の僕にとって価値があります。

最後に「手術」を手放しました。まわりの人達からは「まだ若いのに（手術をやめることは）勿体無い」と言われました。しかし、土日や夜間の緊急手術で突然呼び出されるようなことは無くなりました。今は田舎の病院で外来診療だけをする医師生活を送っていますが、そのおかげで家族と一緒に過ごすことができる貴重な時間を手に入れました。この自由な時間というものは、今の僕にとって一番の価値があります。

「Be Simple（単純であれ）」

シンプルに生きるということは、無理して身の回りのものを何もかも捨てて、ミニマムに生きるということではないと思っています。シンプルに生きるということは、人間関係を含めて自分を取り巻くいろんなものの中から、今の自分にとって価値のあるものを一つ一つ丁寧に選んでいく作業だと思っています。

身についている余分なもの（贅肉も含めて…）はすぐに削ぎ落とすことはできませんが、価値のあるものを選んでいく作業は、いつでもできるはずです。昨日の記事（「読める本の数」と「蔵書の数」について）を書いていて、今日はそんなことを思いました。みなさんも、今の自分にとって価値のあるものだけに集中して生きてみてください。本当に気持ちが楽になりますので^ ^

それではまた^ ^