
先日、僕の外来にずっと通院している患者さん(80代の女性)から次のような相談を受けることがあった。
「先生の教え(!?)にはいつも助けられています。本当にありがとうございます。今日はちょっと相談に乗ってほしいことがありまして…。実は私、老人会が主催している◯◯研究会というものに参加していて、これまでずっとそのサークル活動を楽しんできたのですが、今年から会長になった人(80代の男性)がどうしても好きになれなくて…サークル活動が全然楽しめなくなりました…」
なぜ好きになれないのか?一番の原因を聞いてみると、その会長になったおじいちゃんが、特定のメンバーの悪口を(その人がいないところで)いつも言い続けているからとのことだ。これはどこにでもある話だし、うちの病院にも悪口ばかり言っている人はちょくちょく見かける。そんな人とどのように付き合って行けばよいか?それを僕に教えてほしいというのが相談の内容であった。
僕はこの手の相談を受けることが時々ある。本来、医者の仕事は病気の診断や検査、治療が中心なのであるが、僕の場合は人生相談やご近所でのトラブル、親戚付き合いや金銭問題などなど実に様々な内容の相談を持ちかけられるのである。「先生は、他の先生と比べて話しやすいし優しいです」と、患者さんたちはよく言われる。主治医の先生に冷たくされ、辛くなって話を聞いてもらいたくて僕の外来を受診する患者さんも何人かいる。

話を元に戻すが、他人の悪口ばかり言っている人との付き合い方であるが、僕自身は「そんな人とはなるべく距離を置く」ようにしている。物理的な距離もそうだし、人間関係的な距離、精神的な距離をある程度以上保つように心がけている。その相談を持ちかけてきたおばあちゃんの患者さんには次のようにアドバイスをした。
「まずはその会長の悪口に”反応しない”ようにしなければなりません。反応しないようにするためには練習が必要ですが、それが難しいようであれば、悪口を言いはじめたらすぐに席を外し、なるべくその悪口が聞こえないように距離をとったほうが良いですね」と。
黙って距離を取るのもよくないので、「ちょっとお手洗いに行ってきます」とか「家族に急ぎの連絡を思い出したので」と言って、すっとその場から去ることを勧めてみた。僕自身も医者の溜まり場で、他の医者やスタッフの悪口が飛び交い始めたら、すっと席を立って(それこそトイレに行くふりをして)その場から立ち去るようにしている。その場に居続けると、知らず知らずのうちに心が汚染されてしまうからである。
僕は昔から「医者っぽくない医者」と言われてきた。同僚にも患者さんにもまんべんなく言われてきた。患者さんからの病気の相談に対してはプロ意識を持って対応しているが、患者さんの人生相談(たいていの医者には完全に無視されるもの)には一人の人間として話を聞き、自分なりの考えや解決を提案している。しかしこの人生相談が実に楽しい。田舎の病院でのんびり仕事をしている医者にしかできない楽しみ方かもしれないが、仕事が趣味になりつつあるのは本当に幸せなことである。
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それではまた^ ^
