自分で作ったものが売れた時の確定申告の方法【まとめ】

うちの家内が作った伝統工芸品をダメ元で販売したところ、意外にも利益が出てしまっため、確定申告をする必要が出てきました。本業（ちょっとしたアルバイト）と副業（伝統工芸作家）を併せて、どのような手続きをとって確定申告をすればよいかを勉強しながらまとめてみました。まだよくわかっていないので、少しずつアップデートしていく記事になります。

確定申告とは？

まず確定申告とは、国に納める税金を年1回報告する手続きのことです。

所得税等の確定申告は、1月1日から12月31日までの一年間に生じた全ての所得の金額とそれに対する所得税の額を計算し、申告期限までに確定申告書を提出して、源泉徴収された税金や予定納税で納めた税金などとの過不足を生産する手続きです。

引用：「所得税等の確定申告とは」（国税庁）より

個人事業主や副業で収入がある人は、経費や利益などを計算し、自分で収支を報告する必要があります。

確定申告の対象は収入でなく所得です。所得とは売上から必要経費を差し引いた金額のことです。材料費だけでなく、梱包費や工具など製作販売に関わる金額であれば全て必要経費として計上できます。必要経費になるものは以下の通りになります。

▶︎ 必要経費になるもの

・材料費

・製作に必要な機械や道具の購入費

・作業机、椅子、パソコン、カメラなど購入費

・梱包材の費用、発送する際の送料

・サイトやフリーマーケットアプリを利用するための手数料

・作家活動における講座参加費、交通費

・打ち合わせや情報交換の場における食事代、お茶代

・自宅で作業している場合は家賃や光熱費、通信費などの費用の一部

　（事業で使用する割合のみで100％は計上不可）

・イベント参加費のための交通費、ガソリン代、宿泊費など

税務署の職員に「このような理由、目的で◯◯が必要になった」と説明できるものは全て経費となります。ただし、プライベートと併用して使用するもの（通信費、家賃、光熱費など）はあくまでも事業に関わるパーセンテージだけ計上対象です。

確定申告が必要になるのはいくらから？

確定申告をしなければならない収入の額は、2つのパターンがあります。

① 給与所得がある場合は副業になる

会社員やアルバイトで給与所得がある場合は、一年間の所得が20万円以下なら確定申告が必要ですが、住民税の申告は必要になります。

ただし、年末調整や確定申告をした人は住民税の手続きは不要になります。

② 伝統工芸品の製作が本業

個人事業主として伝統工芸品を製作している場合は、一年間の所得が48万円以上であれば確定申告が必要です。所得から控除できる基礎控除が48万円と定められているからです。

確定申告をしなければどうなるか？

確定申告を期限内に行わなければ無申告とみなされ、ペナルティが課されます。

・無申告加算税：15〜20％

・延滞税：7.3〜14.6%

開業届と事業所得について

開業届は開業してから一ヶ月以内に提出するとされていますが、事業が安定してからの届出でも問題はありません。

ただし、事業とみなされるのは継続して一定の売り上げがある場合です。事業所得として確定申告する場合は、青色申告と白色申告の2種類があります。

	白色申告	青色申告
事前申請	不要	必要
節税の特典	なし	あり
帳簿の記帳方法	簡易簿記	複式簿記
必要な提出書類	・確定申告書 ・収支内訳書 ・控除書類	・確定申告書 ・青色申告決算書 ・控除書類 ・決算書（貸借対照表、損益計算書）

事業所得として認められるためには

①反復継続して行なっている

②事業として独立（成立）している

の2点がポイントになります。

開業届を出していれば、売り上げ収入が少なくても青色申告をすることができます。

事業としての反復継続性がない場合は雑所得、または白色申告の事業所得として白色申告を行なっても問題ありません。

確定申告の必要な書類

確定申告で基本的に必要となる書類は以下の通りです。

・確定申告書

・本人確認書類

・所得金額がわかる書類（収支内訳書）

・各種控除の申請に必要な書類

・銀行口座がわかるもの

・青色申告の場合：青色申告決算書

マイナンバーカード読み取り対応しているスマホがあればe-Taxで確定申告をすることができます。青色申告ではe-Taxで手続きを行うと、65万円の青色申告特別控除を利用できるメリットがあります。

白色申告に必要な「収支内訳書」

白色申告を選択した場合は収入や経費などの詳細を記載した「収支内訳書」の作成が必要になります。収支内訳書とは、帳簿を元に1月1日から12月31日までの売り上げや経費などの収入・支出をまとめた書類です。

確定申告では帳簿の提出は不要ですが、税務署から不備などの指摘があった場合は提出を求められることがあります。帳簿を作成する際に、売り上げや仕入れ、消耗品などの項目を収支内訳書とあわせてまとめておくと便利です。

収支内訳書の作成が必要なケース

▶︎ 事業所得・不動産所得・山林所得がある場合

▶︎ その年の前々年分の業務に係る雑所得の収入金額が1,000万円を超える場合

事業所得の場合は基本的に「一般用」を使用します。

収支内訳書を作成する間に準備しておくこと

① 帳簿の準備

帳簿とは事業に関わる日々のお金の流れを記録しておく台帳です。税務署から指摘が入った場合は提出を求められることがあり、7年間保存しておく義務があります。

白色申告の場合は、取引の内容と収支のみを記録する「単式簿記（簡易簿記）」という記帳方法で帳簿を作成します。一つの取引に対して一つの側面から記録するため、お小遣い帳のような感覚でつけることができます。

単式簿記（簡易簿記）の例

日付	科目	収入	支出	内容
4月1日	消耗品費		300	コピー用紙購入
5月1日	交通費		2,000	打ち合わせ交通費
6月1日	売上	2,100,000		催事で売約

また、白色申告で必要な帳簿は以下の通りです。

・現金出納帳

現在の現金残高を把握するための帳簿。

日付、取引先の相手と内容、収入、支払い、残高を取引ごとに記入。

・預金出納帳

普通預金や当座預金の出入金を記録するための帳簿。

取引相手や具体的な取引内容など、取引の詳細を記録。

・売掛帳

売掛金の記録をつける帳簿。

売掛で売り上げたものの金額と回収した金額を記録し、売掛金の残高を管理。

・買掛帳

買掛で購入したものの金額と、支払った金額を記録し、買掛金の残高を管理。

・経費帳

文房具などの消耗品購入や光熱費、租税公課などの支払いの際に記録を付ける。現金で購入した場合は現金出納帳にも記載。

・固定資産台帳

減価償却資産の管理をする帳簿。

資産名と取得年月日のほか、取得価額やその年に償却する金額などを記録。償却済みの金額や、未償却の残高を管理。

② 減価償却の対象となる固定資産の確認

建物や車、備品など年数が経過することで固定資産の価値が減少していくものを「減価償却資産」と言います。耐用年数が1年以上で取得価額が10万円以上のものが減価償却資産の対象となります。

減価償却資産の取得費用は、固定資産ごとに国税庁が定めた耐用年数の期間中に分割し「減価償却費」として経費計上します。

計算方法は毎年一定額ずつ経費計上する「定額法」と未償却残高に一定率をかけて経費計算する「定率法」の2種類があります。個人の場合は事前に届けを出していない限り定額法で計算しなければなりません。

③ 収支内訳書を入手

収支内訳書は税務署の窓口、または国税庁のホームページからフォーマットを取得することができます。

国税庁HPの「確定申告書作成コーナー」を利用すれば、サイト上で確定申告に必要な収支内訳書などを自動で作成することができます。

現在はマイナンバーカードを持っていれば、スマートフォンからでも収支内訳書を作成することができます。

確定申告のポイント・注意点

レシートや領収書を必ず保存しておく

必要経費として計上するもののレシートや領収書は必ず保存しておきましょう。これらの資料は7年間の保存期間が必要とされています。

レシートや領収書を紛失した場合や、レシートや領収書が出ない経費（電車賃など）については出金伝票への記載で大丈夫です。出金伝票は100円ショップで購入可能です。

フリーマーケットアプリからの購入などの場合は購入履歴でも代用できます。簡単な出納帳を作っておいて、その都度記載しておくことをお勧めします。

確定申告で悩んだ場合

① クラウド確定申告ソフトを利用する

作家活動に関わる経費（出費）をクレジットカードで引き落とすようにします。そのクレジットカードとクラウド確定申告ソフトを連携することで、自動で帳簿が出来上がります。クラウド会計ソフトは無料でインストールできるものもあります。確定申告における必要書類作成が楽になります。

② 税務署で無料相談を受ける

税務署の電話相談、もしくは税務署で直接窓口相談を受けることができます。いずれも無料で相談に乗ってくれます。確定申告の受付期間や直前では、待ち時間が長くなるため注意が必要です。

③ 税理士に相談する

複雑な経理処理が必要な場合は税理士への相談も検討する必要があります。確定申告を税理士に全て任せた場合にかかる費用は2〜5万円程度です。この税理士報酬も経費に計上することができます

まとめ

とりあえずやっていくことは以下の順になりそうです。

① 領収書・レシートを保管する

② 単式簿記で帳簿を作成する

③ 収支内訳書を作成する

④ とりあえず白色申告で確定申告書を作成する

⑤ （よく分からなければ）税務署に相談してみる

何はともあれやってみないと分からないことばかりです。この伝統工芸品に加え、ちょっとしたアルバイトの給与所得や、外貨建て個人年金を解約したお金もあるため、やや煩雑になりますが、それはそれで税金の勉強になると思います。この記事は（自分用に）その都度アップデートしていくつもりなので、何かの参考になれば幸いです。

それではまた^ ^