つい先日、漢方薬専門の某製薬会社(ツ◯ラ)のMRさんと病院の廊下で立ち話をしていた時の話です。現在その製薬会社から発売されている漢方薬は全部で128種類あって、新しい薬の開発は一切行っていないそうです。既存の漢方薬の薬理作用や効果についてのみ研究しているとのことでした。2年前に株式投資を始めてからになりますが、いろんなMRさんと話をしていると「このMRさんの製薬会社って今後株価は上がるのだろうか?」ということを、つい考えてしまうようになりました。新薬をひとつも開発していない漢方薬専門の製薬会社って、話を聞いている感じでは今後の株価の上昇の見込みはないかもしれません。(ちなみに配当は2%前後です)
ところでそのMRさんは、自分の会社の製品である128種類の漢方薬を全て覚えているのだろうか?そんな疑問が湧いてきました。そのことを尋ねてみたところ「今はちょっと忘れたもの(漢方薬)もありますが、新人の頃は全て覚えていました!」とのことでした。それには理由がありました。その某製薬会社(ツ◯ラ)では入社したての新人研修が6ヶ月間あって、その期間に既存の漢方薬128種類を全て覚えなければならないというタスクがあるそうなのです。その漢方薬は、以下のようなものになります。
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製品番号001:葛根湯(カッコントウ)
製品番号002:葛根湯加川芎辛夷(カッコントウカセンキュウシンイ)
製品番号003:乙字湯(オツジトウ)
製品番号005:安中散(アンチュウサン)
製品番号006:十味敗毒湯(ジュウミハイドクトウ)
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製品番号501:紫雲膏(シウンコウ)
(※欠番が多数あります)
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これら128種類の漢方薬をすべて完璧に覚えなければならないとのことです。「製品番号」と「漢字・読み」を正確に覚えて、6ヶ月間の新人研修期間内にテストを受けて、2回連続で合格しなければならないようです。漢字については”とめ、はね、はらい”まで細かくチェックされて、2回目のテストでもし不合格したら、また1回目からやり直しという厳しい内容のものでした。小学校の漢字テストみたいですね?と苦笑いしたら「ホントそうなんです!めちゃくちゃ過酷なテストでした(笑)」と、意外と楽しそうに笑っていました。
僕たちが医者になった時代は、研修医として3年間働きましたが、いわゆる「新人研修」というものはなくて、指導医と一緒に働きながら仕事を覚えていくというカタチの研修でした。少なくともこのようなペーパーテストはありませんでした。病院では最初から「先生」と呼ばれ、製薬会社のMRさんからも「先生」と崇められ、患者さんからも「先生様」と神様のように呼ばれます。自分が偉くなったと勘違いしてしまい、とてもエラそうにしている研修医もいました。こんなことだから”医者”という人種は社会的に未熟な人間が多くなってしまうのかもしれません。僕たち医者も、このツ◯ラさんのような過酷な新人研修が必要なのかもしれませんね。
(みんな一発で合格してしまいそうですが…)
それではまた^ ^