🌀ぐるぐるねこ男ブログ🌀

ぐるぐるねこと一緒に暮らしている男の雑記ブログです。週2回(月・木)更新中🎵

”経費”で接待を受けていた時の話

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僕が医師になった20年くらい前の話です。その当時は製薬会社さんからの接待が当たり前の時代でした(ちなみに今はありません)。接待の見返りとして、その製薬会社から発売される新しい薬を病院で採用したり、同じような種類の薬がある場合に、その製薬会社から販売されている薬を(比較的、積極的に)選んで患者さんに処方したりしていました。いわゆるギブ・アンド・テイクの関係ってやつです。

 

どんな接待を受けていたかというと、やはり夜の会食が中心です。病院で新薬を採用するための薬事委員会の前や年末年始、そして年度末は特に経費を使い切らないといけないということで、毎週のように(しかも週に2〜3回)夜の会食接待を受けていました。行き先は高級料亭、寿司屋、ステーキ、フレンチなど、コース料理で一人1〜2万円は当たり前のお店ばかりでした。それにお酒代も加わるので、医師一人に対して3〜5万円くらいの経費は使っていたと思います。もちろん行き帰りのタクシー代もいただけます。

 

タクシー代も片道1万円以上かかっていたので、行きのタクシーチケットだけでも1万円分のものを2枚(合計:2万円分)渡されていました。地元のタクシーを使っていましたが、僕たちが電話をかけるとすごく喜んでくれていました。タクシーの運転手さんたちとも顔見知りになってしまいます。◯◯先生は毎週のように利用してくれているとか、△△先生も先ほど出発されたなど、医師たちの個人情報はダダ漏れでした。

 

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目的地に到着するとメーターは大抵1万円を少し越えたくらいになりますが、運転手さんからは「こちらで全部書いときます!」と言われるので、いつもタクシーチケット2万円分を手渡していました。いくらの金額を書き入れるのかは運転手さんの良心に任せるしかありませんが、まあそれも経費なので、僕には関係のないことでした。ある運転手さんは「お医者さんを運んだ時の領収書を眺めながら晩酌をする日が最高なんです」と嬉しそうに言っていました。

 

これからの季節だとフグ料理が多くなります。高級料亭で「てっさ」「てっちり」を食べながら、一合数千円の冷酒を飲みます。スーツ&ネクタイ姿のMRさんは終始笑顔で僕たち医者のことを王様のように扱ってくれます。笑顔はプライスレスのはずですが、もしかしたらその”笑顔”も経費で落ちるのかもしれません。家族へのお土産や、帰りのタクシーチケット(2万円分)も経費です。そしてタクシーの運転手さんの給料までもが経費のおかげで潤います。

 

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また、飛行機や新幹線を利用しないと行けないような遠方で開催される研究会にも案内されていました。行き帰りの新幹線はグリーン車で予約してもらうこともよくありました。研究会(少し有名な先生が、ありきたりの話をするだけの退屈な講演会)が終わったら立食パーティーが行われ、そのままそのホテルに宿泊します。大きなホテルで開催される場合が多く、宿泊する部屋もまずまずのグレードでした。これも全て経費です。

 

まだまだあります。年末には来年のカレンダーや手帳が山のように渡されます。粗品と名付けられたタオルも山のように渡されます。ボールペンや蛍光ペン、ポストイットやメモ帳なんて、田舎の文房具屋よりも品揃えは圧倒的に僕の方が豊富だったかもしれません。マグカップやワインのコルク抜きなどなど、ちょっとした雑貨店を開けるくらいの「粗品」が、どんどん手元に届きました。もちろんそれらも経費です。

 

 

 

その経費は宣伝広告するために必要なものであったかもしれませんし、ただ単に税金対策のためだけに使われていたのかもしれません。そのあたりの難しい事情は僕にはよくわかりませんが、今はそのような接待に対する経費の使われ方は全くなくなってしまいました。「あの時代は何だったんだろう?」って感じです。

 

先日の記事「お互いに誰にも言っていない秘密を共有する」で書いた、村上春樹の『ダンス・ダンス・ダンス』の中で登場する五反田君。彼は多額の借金を抱えているのにも関わらず、高級車やお酒、そして女性に対しても所属会社の経費をじゃぶじゃぶと使わなければならない生活をしているのですが、その五反田君のことを考えていて急に「経費」にまつわる昔話が書きたくなっただけです。ホントにいつも、そんなゆる〜い思いつきでブログを書いていたりしています。

 

 

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それではまた^ ^