🌀ぐるぐるねこ男ブログ🌀

ぐるぐるねこと一緒に暮らしている男の雑記ブログです。週2回(月・木)更新中🎵

倉敷・ふるいちの「ぶっかけうどん」と「小倉ソフト」

ぐるぐるねこ男

年月は人のつながりを疎遠にします。学生時代にすごく仲が良くて、毎日のように連絡を取り合っていた親友ですら、今では数年に一度、E-mailを送るくらいの疎遠な関係になってしまいました。学生の頃は、海外サッカーの試合結果や付き合っている彼女の話、そして自分達の今後の進路の話など、話のネタに尽きることはありませんでした。血気盛んな頃だったので、毎日が楽しく刺激的で、次の日の朝が来るのが楽しみで仕方ありませんでした。そして自分の身の回りで起こった些細なことを、世界で一番面白いことのように、その親友に熱く語っていました。彼はいつも笑いながら僕の話を聞いていました。お互い大学受験を失敗した時には、離れ離れになってしまいました。当時は携帯電話がなかったので、毎月のように手紙(封筒に便箋を入れて郵送するやつです)を送り合っていました。そして年月が過ぎ、いつの間にか僕は外科医になり、彼は精神科医になったのです。

 

その彼の名前をここではN君と呼ぶことにします。先日、N君から10年ぶりくらいにE-mailが届きました。N君は大学の同窓会で久しぶりに故郷(岡山県)に帰ってくることが決まり、僕がまだ岡山に住んでいるのなら一緒に飲みに行かないか?という内容のメールでした。僕は十数年前まで岡山に住んでいたのですが、今はずっと遠くの町に住んでいます。でもわざわざ彼が、僕よりももっと遠方の町から岡山に帰ってきて、そして久しぶりに僕に会いたいと言ってくれているのに「岡山はちょっと遠いから無理」なんて言えませんでした。このタイミングでわざわざ誘ってくるってことは、何か他の人には言えない悩み事でもあるんじゃないか?って思うくらいの唐突なタイミングだったのです。僕は数年前に急性期病院を引退し、自宅に引きこもって誰とも会わず、仙人のような生活を続けていたので、ここでN君と再会するのは少し小っ恥ずかしい気もしました。しかしいつまでも自分の殻に閉じこもって生きていくのもどうかと思い、僕は二つ返事で「ちょうどその日は空いているから、久しぶりに倉敷で飲もうか?」と、自分の予定を確認する前に返信メールを打ってしまったのです。

 

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N君とはJR倉敷駅で待ち合わせることになりました。学生の頃にいつも待ち合わせ場所なので、ただ単に「倉敷駅に◯時に集合しよう」とだけ伝えていました。僕の方が早く到着し、久しぶりの倉敷駅周辺をウロウロと歩いてみました。当時、僕たちの庭だった倉敷駅周辺もかなり変わっていました。でも、あの時と同じままのものもたくさん残っていました。そういうものはやはり経年劣化を隠せずに、ボロボロになりながらもひっそりと僕たちを待ち続けてくれていたんだろうなあって、少し感傷的な気持ちになりました。約束の時間になり、N君はどこからともなく僕の前に現れました。「よう!久しぶり」「元気にしてた?」「ちょっとどこか店に入ろうか」と、お互い通りいっぺんの挨拶をし、ぶらぶらと飲み屋街の方へ歩き始めました。N君も久しぶりに僕と再会するので、少し恥ずかしそうにポケットに両手を突っ込んでいました。N君は今、そこそこ大きな総合病院の精神科で部長職についているため、それなりの風格が漂っていました。僕の方はアルバイトに毛が生えたようなくらいの仕事しかしていません。年月は二人の立場を大きく広げてしまったようです。

 

平日の夜で少し小雨も降っていたので、人通りは少なかったのかもしれないし、いつも通りだったのかもしれません。雰囲気の良さそうな居酒屋の暖簾をくぐり、僕たちはカウンター席を選びました。サッと僕たちのそばに近寄ってきた店員さんに「とりあえず生ビール2つ」と注文し、メニュー表を眺めながら「タコわさ、焼き鳥の盛り合わせ、シーザーサラダ、モツの煮込み、以上で」と、食べ物も続けて注文しました。注文を受けた店員さんは中国人のような雰囲気の女の子でした。店内を見渡してみると、料理を運んでいる他の女性店員さんもみんな中国語のようなイントネーションで話していました。スタイルが良くて清潔感もあり、きびきびと働く姿を眺めていると、この国の仕事も少しずつ外国の人たちに奪われていくんだろうなあって思いました。そしてキンキンに冷えた生ビールが、突き出しの枝豆とともに運ばれてきました。誰かと生ビールで乾杯するのなんて、いつ以来だろうか?以前のようにうまく乾杯できるかな?なんて思っていましたが、僕とN君はいつも通り(ごく自然に)乾杯し、冷えたビールで乾いた喉を潤したのでした。そして息を吸った後に自然に息を吐くように「あ〜、うまい!」と二人で声を発してしまいました。少し緊張していた僕たち二人の顔に、おそらくその瞬間から笑顔が戻ってきたような気がしました。

 

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その夜は3軒ほどハシゴをしました。最後は場末のスナックのようなお店で、ウイスキーのロックを何杯か飲みました。隣のボックス席でカラオケを熱唱しているサラリーマンのグループがいましたが、僕たちはカウンターの向こうに並ぶ安そうなウィスキーや焼酎のボトルを眺めながら、二人の共通の友達の話を続けていました。A君が離婚しそうだとか、B君が1億近い借金をしているとか、C君が仕事をクビになったとか、D君が飼ってた犬が死んだとか、本当にどうでもいい話をずっと(ウィスキーを飲みながら)し続けていました。気がつけばカラオケを熱唱していたサラリーマンたちは帰っていました。お店の中も「そろそろ閉店よ」みたいな空気が漂っていました。これ以上、この場末のスナックに居座ってもメリットはなさそうなので、僕たち二人もお勘定を済ませ、お店を後にしました。倉敷駅前通りは大きな音を立てる車がまだ何台も走っていました。深夜になるとゴキブリのようにやたらと元気になる人たちがいます。しかし彼らの存在が、暗くて寂しい夜の時間と空間を埋めてくれるのです。N君とはいつもこの街で朝までお酒を飲み、空が少し明るくなる頃にコンビニで買ったカップラーメンにお湯を注ぎ、美観地区の橋にもたれて熱々の麺とスープを啜っていました。でもその日は、それまで何もなかったかのように、「じゃあ、また」と挨拶をし、あっさりと別れました。N君はタクシーに乗り込み、僕は予約していたシティーホテルへと向かったのでした。

 

翌朝起きて、少し小腹が空いていたので、近くの喫茶店とかでモーニングでも食べてから家に帰ろうと思い、シャワーを浴びてから倉敷駅に向かって出かけました。僕はシティーホテルでモーニングを食べることは滅多にありません。深夜までお酒を飲んで、朝はゆっくり起きて、そして大抵の場合は目が覚めた時にお腹いっぱいなので、素泊まりで予約することが多いのです。しかしその朝は妙に空腹感を覚えました。適当な喫茶店を探しながらぶらぶらと街中を歩いていると、「ふるいち」といううどん屋さんが目に入りました。ぶっかけうどん発祥のお店で、学生の頃はよく利用したうどん屋さんです。讃岐うどんのように麺にはコシがあり、タレも絶妙の味で麺に良く絡むので、観光客だけでなく地元の人にも大人気なのです。

 

ふるいち、ぶっかけうどん

 

こちらのうどん屋さん、実は餡子(あんこ)もうどんと同じくらい有名です。ぶっかけうどんを(朝から)ぺろっと食べた後で、迷わず「小倉ソフト」も注文しました。

 

ふるいち、あんこ

 

また倉敷に帰ってくるチャンスがあれば、必ずこのふるいちの「ぶっかけうどん」と「小倉ソフト」を食べようと思いました。故郷の味って中々いいものですね。今月末は広島の厳島神社まで旅行する予定です。旅先では広島焼きや瀬戸内の魚介類をめいいっぱい楽しもうと思います。コロナ禍も明けて、株価も上がっているし、これからは楽しいことばかりが待ってそうです。稼いだお金は(ある程度)パーっと使って人生楽しもうと思っています^ ^

 

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それではまた^ ^