🌀ぐるぐるねこ男ブログ🌀

ぐるぐるねこと一緒に暮らしている男の雑記ブログです。週2回(月・木)更新中🎵

小児がんの女の子【中編】

 「小児がんの女の子【前編】」からの続き 

つらい治療でも頑張る小児がんの子供たち

 

まほちゃんのがんの治療は「放射線治療」を中心に行うことになりました。がんが発生した場所が、まほちゃんの生命を維持するためにとても重要な働きをする場所だったので、手術でがんを取り除くということができない場所でした。なので外部から放射線をがんのある場所に集中的に当てることで、少しでも悪い細胞や組織をやっつけようという治療を行わなければなりません。

 

僕は研修医一年目でしたが、肩書きはまほちゃんの主治医です。具体的な治療スケジュールや検査の計画などは指導医の先生と相談しながらになりますが、日々の診察やカルテの記載などは僕一人でもできる仕事です。毎日のようにまほちゃんのベッドサイドを訪問し、がんによる症状の悪化がないかとか、放射線治療による副作用が出ていないかを診察しました。

 

まほちゃんは僕が来るのを毎朝待ってくれていました。お母さんの話によると、朝起きたら顔を洗ってすぐにお母さんに髪の毛を二つにくくってもらい、朝ごはんを食べたらベッドの上にちょこんと体育座りをし、僕が来るのを毎日心待ちにしてくれていたそうです。体に放射線を当てる治療なので、ご飯を食べることができないくらいしんどい日もあったはずですが、つらい治療をものともせず、いつも笑顔で「せんせい、おはようございます」って挨拶してくれていたのです。研修医の仕事は忙しく、朝から深夜まで走りっぱなしの激務でしたが、毎朝まほちゃんが笑顔で僕を迎えてくれたので、逆に僕の方がその笑顔に癒されていました。

 

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まほちゃんが入院していた小児科病棟には、他にも脳腫瘍や白血病などで入院している子供たちがたくさんいました。抗がん剤の点滴治療でゲーゲーと吐いている子供さんもいました。でも決して弱音を吐いたりせずに、つらい抗がん剤の治療を受け続けていました。また血管が細いため、点滴を何度も入れ替えしている子もいましたが、針を刺されてもグッと痛いのを我慢していました。大人の患者さんよりもずっと我慢強く治療に臨んでいる子供たちの姿を見ていると、いつも胸が熱くなっていました。

 

まほちゃんとは日ごとに仲良くなり、ベッドサイドで一緒に折り紙をしたりすることもありました。折り紙をしている時に「せんせい、これあげる」と言われ、まほちゃんのその日のおやつを分けてもらったこともあります。僕のためにちゃんと分けて取っておいてくれたようです。いつも髪の毛を二つにくくり、身だしなみを整えて僕の診察を心待ちにしてくれていた5歳の女の子が、小児がんで余命一年もないというのが信じられませんでした。

 

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そして入院から約一ヶ月が経過し、まほちゃんの放射線治療は無事終了しました。ふらふらしてまっすぐ歩くことができないまほちゃんでしたが、ご両親に支えられながら自分の足で歩いて退院しました。病棟のエレベーターの前まで見送りましたが、エレベーターに乗る前にまほちゃんから「せんせい、また折り紙して遊ぼうね」と、いつもの笑顔でお願いされました。退院用にいつもよりも可愛い服を着て、そして髪の毛はいつも通り二つにくくっていてニコニコしているまほちゃんを見ていると、重い病気を抱えているようには見えません。普通の可愛い5歳の女の子です。

 

「また」ってことは、もう一回入院した時になるんだよ・・・と僕は思いました。再入院をするということは、全身状態が悪化した時です。もちろん、そんな残酷なことを小さな女の子に伝えることはできないので、「まほちゃん、また遊ぼうね!」と笑顔で病院から送り出してあげたのです。これがまほちゃんとの最後のお別れになるとは、その時は思いもよらなかったのです。

 

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<本日のブッダの言葉>

鞭をあてられた良い馬のように勢いよく努め励めよ。信仰により、戒めにより、はげみにより、精神統一により、真理を確かに知ることにより、智慧と行ないを完成した人々は、思念をこらし、この少なからぬ苦しみを除けよ。

『ブッダの真理のことば 感興のことば』中村 元 訳より

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それではまた^ ^

 

➡︎ 次の記事「小児がんの女の子【後編】」に続く