僕の家は貧乏でした。大学受験に一度失敗し、浪人生になる時は自分でアルバイトをして学費を稼ぎながら地方の(安い)予備校へ通っていました。予備校では高校を定年退職した先生が学校でする授業と同じような内容の講義を行っていました。なので僕は予備校の講義を受けるというよりも、勉強をし続ける習慣を維持するためだけに予備校に通っていました。
朝6時に起きてすぐに勉強を始め、予備校に行ってからはランチも食べずにずっと下を向いて勉強していました。そんな僕の姿を見て、化学の担当だった先生が「君は全部自分で勉強できそうだから、これをやってみなさい」と、旺文社の大学受験用問題集を手渡してくれたのでした。その化学の先生は自分で学習塾もやっている先生で、予備校にはアルバイトに来ていました。その先生に声をかけられると医学部に合格するというジンクスがあり、僕は嬉しくなってその化学の問題集で猛勉強をしました。
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月日はあっという間に流れ、センター試験(マーク式)の日がやってきました。僕は文系教科が苦手だったので、800点満点で650点くらいしか取ることができませんでした。そして目標にしていた国立大学の医学部の合格判定は最低の「E」でした…。しかし僕は2次試験(筆記)の勉強を春からかなりこなしてきたので、自分の中では絶対に逆転できると信じて疑いませんでした。しかし、僕が唯一信頼していた化学の先生からこんな一言を言われてしまいました。
「医学部じゃなくて、歯学部だったら合格できるぞ。(受験するのを)歯学部に変えてみるか?」
僕はその言葉にショックを受けて動揺しました。僕が信じて止まなかった化学の先生から死刑宣告を受けた気分になりました。医学部を目標に一年間勉強し続けてきて、最後の最後に受験する学部を歯学部に変えるって…。すぐに「そうですね、そうします」って納得できませんでした。そして徐々に怒りが湧いてきたのでした。「歯学部と医学部じゃ全然違うやん!何言ってんの、このおっさん!」って。
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結局、誰の意見も聞き入れずに、僕は迷わず目標としていた国立大学の医学部を受験しました。自分で学費を稼ぎながら、自分で勉強してきたのに、最後の最後で他人にとやかく言われたくありませんでした。そして逆転の医学部合格を決めたのです。
僕はその時の経験から「失敗も成功もない人生」よりも「失敗も成功もある人生」を生きて行きたいと思うようになりました。あの時もし、医学部よりも偏差値の低い歯学部(歯学部が悪いってことではありません)を選んでいたら、僕は今頃どうなっていたのか想像もできません。その時は「失敗したくない」という気持ちよりも、「失敗するかもしれないけど、絶対に成功したい!」という気持ちの方が強かったのだと思います。
休日に荷物の整理をしていて、中学生の時の通知表が出てきたがきっかけで、この記事を書きました。人生はどんな状況からでも(何歳からでも)絶対に逆転できるんだってことを、これからもこのブログで発信し続けようと思います^ ^
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<本日のブッダの言葉>
しかし愚かな者は、悪い行ないをしておきながら、気がつかない。浅はかな愚者は自分自身のしたことによって悩まされる。ーー火に焼きこがされた人のように。
『ブッダの真理のことば 感興のことば』中村 元 訳より
それではまた^ ^